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ブロッコリーを栽培しながら太陽光発電、新潟・佐渡島で営農型の実証開始 ...

ブロッコリーを栽培しながら太陽光発電、新潟・佐渡島で営農型の実証開始 (石田雅也,[スマートジャパン])

 営農型の太陽光発電を開始した場所は、佐渡島(さどしま)の北端にある鷲崎(わしざき)地区の耕作地だ。地面から垂直と斜めの方向に支柱を立てて、高さが2メートルの位置に太陽電池パネルを並べた(図1)。パネルの設置角度は南向き13.5度である。

 全体の発電能力は10kW(キロワット)で、年間の発電量は1万1000kWh(キロワット時)を見込んでいる。一般家庭の電力使用量(年間3600kWh)に換算して3世帯分に相当する。発電した電力は売電して農地の収入増につなげる方針だ。

 この取り組みは東京大学のIR3(国際高等研究所サステナビリティ学連携研究機構)が実施する再生可能エネルギーを利用した地域の活性化・低炭素化を目指すプロジェクトの一環である。耕作地を所有する「鷲崎から始める佐渡を育てる会」が協力して実現した。育てる会は農作物の育成と太陽光発電システムの管理・運営も担当する。

 すでに太陽電池パネルの下にブロッコリーを作付けした。今後は季節に合わせて別の農作物も栽培する予定だ。パネルによる太陽光の遮断率と農作物の収穫量を測定・検証して、営農型の太陽光発電の効果を実証する。

 太陽電池パネルにはソーラーフロンティア製の薄膜タイプを採用した。薄型で軽量の「Solacis neo(ソラシス・ネオ)」と呼ぶ製品である。パネルの厚さは6.5ミリメートルで、一般的なスマートフォンよりも薄く、同社製の標準的な太陽電池パネルと比べて5分の1の薄さだ(図2)。1枚あたりの発電能力は100W(ワット)である。

石油火力に依存する離島に太陽光発電

 東京大学とソーラーフロンティアは同じ佐渡島にある旧・小学校の校舎を利用した太陽光発電プロジェクトにも2014年から取り組んでいる。地元の酒造メーカーが佐渡市から校舎を借り受けて、再生可能エネルギーによる電力を活用して酒を製造する「学校蔵プロジェクト」である(図3)。


 閉鎖後の校舎を酒蔵に利用する一方、敷地内にある旧・水泳プールに太陽電池パネルを設置して電力の自給自足を可能にした。発電能力は営農型のプロジェクトと同様に10kWで、酒の製造に必要な電力の20%をまかなうことができる。2015年11月から「学校蔵」のブランド名で酒の販売も開始した。

 離島の佐渡島では主力の電源が東北電力の運転する石油火力発電所である。重油を燃料に利用したディーゼル発電設備が島内の2カ所で稼働している。石油火力発電は燃料の輸入価格が石炭や天然ガスよりも高く、CO2(二酸化炭素)の排出量も天然ガスによる火力発電と比べて多い。

 自然環境に恵まれた島の未来に向けて、発電コストとCO2排出量の両方を抑制できる再生可能エネルギーの拡大が急務だ。日本海に浮かぶ佐渡島は風況が良好なほか、南部では日射量も比較的多い(図4)。営農型の太陽光発電を実施する北端の鷲崎地区でも、年間を通じて日射量を十分に確保できる。

 島のほぼ真ん中に位置する佐渡市の中心部では、年間の平均日射量が東京の都心部を上回っている。日射量が全国でトップクラスの宮崎市と比べても90%程度の日射量を期待できる(図5)。

 営農型のプロジェクトで採用した薄膜の太陽電池パネルは銅・インジウム・セレンを組み合わせた化合物による半導体で構成した製品で、太陽光が当たってパネルの温度が上昇しても発電量が落ちにくい特性がある。実際の発電量と農作物の収穫量がどの程度になるか、農業関係者の注目が集まる。


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