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テスラが「発電する屋根」を開発、脱自動車メーカーを図る狙いと展望 (陰...

テスラが「発電する屋根」を開発、脱自動車メーカーを図る狙いと展望 (陰山遼将,[スマートジャパン])

 米国の電気自動車(EV)ベンチャーであるTesla Motors(以下、テスラ)は2016年10月28日(現地時間)、住宅用の屋根タイルと一体化した太陽光パネル「Solar Roof」を発表した(図1)。同社が買収手続きを進める米国の太陽光パネルメーカーSolarCity(ソーラーシティ)と共同開発した製品で、2017年夏から米国で生産を開始する見込み。

図1 開発した「Solar Roof」を手にするTesla Motors CEOのCEOのイーロン・マスク氏 出典:Tesla Motors

 Solar Roofの最大の特徴は太陽光パネルに見えないという点だ。主に強化ガラス、ルーバーフィルム、高効率太陽電池セルの3層で構成されており、屋根に設置しても遠目からだと一般的な屋根タイルのように見える。現時点では4種類のデザインを公開している(図2・3)。

図2 4種類の「Solar Roof」出典:Tesla Motors


図3 「Solar Roof」を設置した住宅 出典:Tesla Motors

 現時点で発電効率や詳しい価格などは公開されていないが、ソーラーシティによれば一般的な屋根の建築費用と従来の家庭の電気料金の組み合わせよりは安く提供できる見込みとしている。生産は2017年夏から米国で開始する予定だ。製造を行うと見られるのはソーラーシティがニューヨーク州バッファローに建設中の新工場だ。

^新型蓄電池も発表、存在感強めるパナソニック

 テスラはSolar Roofとともに、新型の定置型蓄電池を発表した。家庭用の蓄電池「Tesla Powerwall」、業務用蓄電池システム「Tesla Powerpack」のそれぞれについて新型モデルを用意した。

 新型の「Tesla Powerwall 2」は容量14kWh(キロワット時)のリチウムイオンバッテリーパックを搭載。従来モデルの容量は6.4kWhであり、容量は2倍以上に増加した。さらに温度管理システム、統合型インバーターなども統合されており、価格は5500米ドル、日本円で61万7000円だ。2017年内から納品する予定で、テスラの日本語版のWebサイトでも予約を受け付けている(図4)。

図4 「Tesla Powerwall 2」の概要 出典:TesraMotors

 テスラは2016年7月に発表した第2弾となる事業計画「Master Plan, Part Deux」において、「バッテリーと太陽光パネルをスムーズに統合した、美しく、間違いなく機能する製品を作り、一人ひとりが自分の電気を作れるようにし、それを世界規模で展開する」と述べ、住宅向けの太陽光パネルと蓄電池を組み合わせたエネルギー事業を強化していく方針をあらためて打ち出した。EVメーカーという枠を越え、総合エネルギー企業への転身を進める同社の方針が表れている。

 同年8月にソーラーシティとの合併の合意に関する声明の中でもこの戦略を強調している。今回発表したSolar Roofと新型蓄電池が住宅向け市場を開拓していく上での主力製品となっていくことは間違いないだろう。さらに既存事業のEVを組み合わせ、「太陽光パネル・蓄電池・EV」の3つをセットにした、統合的なエネルギーソリューションの提供を武器に市場開拓を進める狙いだ(図5)。

図5 テスラがSolar Roofの発表イベントで示したイメージ。Solar Roof、PowerWall、EVの3つを導入した住宅になっている 出典:Tesla Motors

全ては「SolarCityを買収できるか」にかかっている

 こうしたテスラの戦略の中で、重要なパートナー企業となっているのがパナソニックだ。両社はリチウムイオン電池の生産について既に提携を進めているが、さらに2016年10月18日には、テスラがソーラーシティを通して傘下に置くバッファロー工場での太陽電池セル・モジュールの生産についても協業の検討を開始すると発表した。

 パナソニックは結晶シリコン基板とアモルファスシリコン膜を組み合わせた独自のヘテロ接合型の高効率太陽電池「HIT」シリーズを強みとして持つ。こうした技術がSolar Roofに直接適用されるかは不明だが、パナソニックの技術力とテスラの販売力を組み合わせたシナジーによる市場開拓に向け、着実に提携領域は拡大している。

 ただし、しかしこの太陽電池生産における提携については、テスラによるソーラーシティの買収が完了することが条件となっている。テスラはソーラシティ買収で製品販売におけるコストを最初の1年間で1億5000万ドル削減できると見込んでいる。今後の事業収支や販売ネットワークの強化などにも影響するものであり、テスラとしては早期にこの買収を完了したい考えだ。買収が遅れれば、製品開発や生産計画に影響が出る可能性もある。

 一方、この買収については株主から疑問視する声も挙がっている。今回の新製品の発表は、ソーラーシティの株主に両社のシナジーをアピールし、買収手続きを前進させる狙いもあるだろう。なお、この買収に関する投票を行うソーラーシティの株主総会は、2016年11月17日(現地時間)に予定されている。


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