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シーケンス制御講座「設備の修理」

シーケンス制御講座「設備の修理」

基礎からはじめるシーケンス制御講座

中級:設備の修理

自分の製作した設備、自分がプログラムを組んだ設備が突然停止することがあります。

何回動作させても、一定の部分でタイムオーバーとなり停止します。このような症状が発生した場合、修理をする必要があります。

ただし設備の修理もかなりの経験と実績が必要です。私がここで説明したからといって、すぐにできるようになるわけではありません。

自分が組んだプログラムであればまだしも、人が組んだプログラムならなおさら分からないでしょう。

ここでは修理をする場合のポイントを説明します。

自分の目で確認する

設備が壊れたり、調子が悪い場合、作業者に「ここで止まるんです」と言われたからといって、そのまま修理に入ってはいけません。

作業者を信用しないわけではありませんが、まず自分の目で確認してください。それは作業者の目とあなたの目は違うからです。

作業者は設備を使いこなしていても、制御に関しては素人です。設備が停止するのは分かっていても、なぜ停止したかまでは分かりません。

 

そのため、実際に設備がどこで停止するのか? そのときのほかのユニットの状況等、可能な限り確認してください。同時にパソコンとPLCを接続して、モニタします。これで大体は分かると思います。

パソコンとPLCを接続してモニタしたら、次の動作に入るための条件部分を表示し、ONしていない接点を探します。

大体シリンダセンサーが壊れていたり、動いていたりして接点がONしてないので、センサーを調整すれば完了です。

 

とても簡単に説明しましたが、実際にはなかなか上手にはできないでしょう。後は経験です。慣れてくればパソコンも必要なくなります。

動きを見ただけで、自分ならこのような回路を組むと想像し、条件などを予測していけば原因を見つけられるようになります。

実際の現場では、設備がおかしくなったら毎回パソコンを持っていくわけではありません。

 

動きをよく見れば、シーケンス回路が想像でき、ある程度のことならその場で直すことができます。

そのためにも、設備の動きはよく見ておきましょう。

最初からプログラムは疑わない

問題なく動作していた設備が、突然動かなくなった。同じ場所でタイムオーバーが出るようになった。

このような異常が発生した場合、まずは設備のセンサーなどを疑っていきましょう。プログラムは一定の箇所だけおかしくなると言うことは考えにくく、プログラムがおかしいときは最初から動作がおかしかった場合や、突然全く動作しなくなった場合、操作不能になった場合など疑っていきます。

突然一定の箇所でタイムオーバーなどが出るようでしたら、その付近のセンサーなどを疑っていきましょう。

 

プログラムを疑うのは最終です。

理由はプログラムが壊れるのは、バッテリー低下などで一部が消えてしまった場合で、このようなときはピンポイントで壊れるのではなく全体的に壊れます。

さらに、壊れたらPLCはエラーを出し停止します。このような症状になった場合プログラムを疑ってください。

順番に探していく

実際の作業では、タイムオーバーが出ると自動回路の自己保持は遮断される場合が多く、モニタしても分からない場合がほとんどです。

タイムオーバーで停止した場合異常コイルが自己保持されます。このコイルが入る接点を探して、そこから追っていく作業になります。

一瞬しか入らず分からない場合は、異常コイルが入らないようにコイルの前に常時ONのb接点など入れて入らないようにします。

 

異常コイルが入った場合、自動回路を停止させるプログラムの書き方がほとんどなので、異常が入らないようにして原因を探していきます。

簡単な目安ではありますが、突然設備が停止したり、動きがおかしくなった場合は電気系統を疑ってください。

センサーやリレーの接点、コイルなどです。徐々に動きがおかしくなってきた場合は、機械的に磨耗している可能性があります。

どうしても動かしたいときは

シリンダセンサーが故障していたとして、どうしても今交換することができない。

しかし設備を止めることができない場合もあるかもしれません。そのようなときは安全を確認して、期間限定で無理やり動かすこともできます。

次のようなプログラムがあるとします。もしハンド下降端センサー「X1」が故障して、ONしなくなったとします。本来ならハンドが下降したとき閉じますが、この状態では閉じません。

スクリーンショット 2017-04-04 17.12.10

単純にシリンダセンサーが壊れている場合は交換すればいいのですが、手元に在庫がない場合などは無理やりでも動かす必要があります。そのような場合はタイマーを使用して動作させます。

スクリーンショット 2017-04-04 17.12.18

このように入力接点の変わりに、前工程のコイルに対してのタイマーを入れれば動作します。

ただし応急な手段なので早めにセンサーを交換しましょう。この方式は、シリンダの動作端を確認できません。

そのためタイマーを短くすればシリンダが下降中にもかかわらずハンドが閉じます。十分余裕を持って行ってください。

 

設備の修理は基本的に回路を作成するのではなく、回路をモニタしながら故障箇所を探して修理を行う作業です。

そのため設備のシーケンスを全て理解するのではなく、不具合がある場所を探し出して、その部分の動きを解析してください。

修理は経験の差が大きく出ます。シーケンスの解析もより多くのプログラムを経験している方のほうが早いです。

 

ただし早く直すことばかりを考えるのではなく、どうして壊れたのか、本当の原因を探すことが重要です。

見かけだけの部分を修理しても、本当の原因を直さなければ再発してしまいます。プログラムにバグがあるのかもしれません。

プログラムのバグは解析中に見つけたら直しておきましょう。修理とは直しだけではなく、再発防止までが修理です。この考え方を忘れないように作業してください。

出典:『基礎からはじめる シーケンス制御講座』

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1977年、広島県福山市生まれ。武永制御 代表。「基礎からはじめるシーケンス制御講座」管理人。◎福山職業能力開発短期大学校(制御科)を卒業。某電機会社にて設備エンジニアを務めた後、武永制御を創業。◎著作に『図解入門よくわかる最新シーケンス制御と回路図の基本』(2013年 秀和システム)、『これだけ!シーケンス制御』(2014年 秀和システム これだけ!シリーズ)がある。◎基礎からはじめるシーケンス講座 http://plckouza.com/index.html