コンデンサの静電容量と誘電率

コンデンサの静電容量と誘電率

コンデンサにとって、静電容量と誘電率は、重要な特性です。
それに関して、簡単に説明しています。

 
 

静電容量とは

静電容量とは、「電気エネルギーを蓄えられる容量」といえるものです。
静電容量は、絶縁された導体間(離されて配置された2つの導電体間)において、どのくらいの電荷が蓄えられるかを表す量を意味します。

英語ではキャパシタンス(capacitance)と呼ばれています。

水に例えますと、ある水位(電圧V)においてどれだけの水量(電荷Q)を蓄えられるかという貯蔵量を表すものです。[Q=CV です。]

空間に配置された二つの導電体の間には必ずこの静電容量が作られます。
その静電容量の値は、二つの導電体の距離と形状、導電体の間の空間の性質によって決定されます。

例えば、下記の様に金属性の板(=導電体)を平行にし、電圧を加えると静電容量を形成します。

静電容量

静電容量Cの値は、金属板の面積Sと金属板同士の距離d、及び金属板の間の絶縁体の誘電率εrにより決定されます。

(ε0は真空の誘電率で8.854187…× 10E-12、 εrは絶縁体の誘電率です。)

Sとdが同じ場合は、静電容量Cは絶縁体の誘電率εrが変化することにより変化します。

 

静電容量の記号と単位について

静電容量の記号はC(キャパシタンスのCです)、単位はファラッド(F)を使用します。

但し、実際には、

  ピコファラッド(pF)= 1ファラッドの1兆分の1  ( =1 x 10E-12 [F])
マイクロファラッド(μF)=1ファラッドの100万分の1 ( =1 x 10E-6 [F])

という単位が用いられます。当社の製品カタログに記載されている静電容量の値の単位も[pF]です。

それでは、各物質が持っている「誘電率」とはどのようなものでしょうか?

静電容量式に必要な誘電率の簡単な説明を以下に行います。

 

誘電率とは

誘電率(比誘電率)とは、気体、液体、固体を問わず、絶縁性物質の持つ基本的な電気的定数です。

各物質は固有の誘電率を持っており、誘電率の値は外部から電場を与えたとき各物質の中に

存在している電子がどのように応答するかによって決まっています。
また、誘電率は絶縁性物質の定数なのですが、導電性のある物質が対象外という訳では有りません。

半導体は誘電率を持ちますし、一見導電性と思われる物質の中にも誘電率を有することがあります。
導体と絶縁体の電気的作用の違いは、自由電子(金属内を自由に移動できる電子)の存在の違いによるものです。

絶縁体には自由電子が存在しない為に電気を流すことができませんが、この絶縁体を電界内に置くと、

電子分極という現象が発生し、この分極の強弱が比誘電率の差となります。この現象が結果として静電容量の変化となって現れます。

少し難しい話が続きましたが、真空では誘電率は1.0(空気の場合は約1.0)、水の場合は約80の誘電率を有しています。
※導電性物質は誘電率が大きく、絶縁性物質は誘電率が小さくなります。

 

電極形状による静電容量

金属性の板(導電体)の間に介在する物質の性質によっても静電容量は変わりますが、

金属板の面積や金属板間の距離を変える事によっても静電容量は変わります。

金属板の面積を1/2にすれば静電容量も1/2になり面積を2倍にすれば静電容量も2倍になります。

従って、静電容量が導体問の関係によって決定されることから、簡単な形状については静電容量を求める式が公式化されています。

下記に4種類の電極における静電容量Cを求める式を記載します。(教科書に載っている一般的な式です。)

電極形状

わかりやすい高校物理の部屋』引用

但し、一般的には上図の様な理想的な形状では無い為に、静電容量を計算で求めることは困難です。

 


創業40年の製造業。ダイヤモンド事業からスタートしたテクダイヤは、会社本来の「人好き」が作用し、人との出会いを繰り返しながら業態変化を続ける。 現在はセラミック応用技術・精密機械加工技術・ダイヤモンド加工技術をコアとしながら先端技術のものづくりを支える。スマホやデータセンターなどの通信市場、更にはNASAやバイオ領域にも進出中。